客を惹きつけるワケ

客を惹きつけるワケ

出張の目的地に向かう電車の中で、靴が壊れた。

混雑した車内で誰かの足が引っ掛かったのだが、降りる時に違和感を覚えて足元をみると、飾りのバックルがとれていた。

かなり余裕のあるスケジュールを組み、早めに現地に到着していたので、巨大ターミナルのショッピングモールで靴を購入することにした。3軒あるうちの一番近いショップから覗いてみる。

1軒め。開店直後の店内に客は私ひとり。ビジネスシーンに合うシンプルなデザイン、手ごろな価格のものを探す。バックヤード近くで商品を検品しているスタッフの横を通りすぎたが、いらっしゃいませ、どころか顔を上げるわけでもなく、開店準備中のお店に入ってしまったような“気まずさ”を覚える。

2軒め。目的のものを探していると、すぐにスタッフが声をかけてきたので、ビジネス向けのシンプルなもの、と伝えると、すぐに幾つかのお薦めを見せてくれた。曰く、当店一番人気で入荷してもすぐ売り切れてしまう、女性誌にも取り上げられた、当社デザイナーのこだわりはココ、云々。参考にはなるが、ショップの“一方的な”売り込みから逃げることにした。

 

3軒め。先の2軒と違って、それなりに客がいる。セールでもやっているのかしら、と期待がふくらんだが、そうではなかった。幾つか手にとって見ていると、とスタッフが声をかけてきた。

「よろしければスリッパに履き替えられますか?靴が壊れているようでしたので・・」

驚いた。よく観察している。気が利いている。
ビジネス用のシンプルなデザイン、黒、ヒールの高さを伝えると、いくつかを薦めてくれた。

「こちらがご要望に合うものに近いと思いますが、その他に靴や足でお困りのことなどございませんか?」

また、驚いた。的確にニーズを掴もうとしている。
長時間立っているとつま先が痛くなる、底マメができることがある、新しい靴はかかとの靴擦れが多い、など話してみると、その原因や靴と足の形状との関係などの説明をしてくれた。なるほど!ここのスタッフは違う、なんだか感動してしまった。

結局、予算を少しオーバーしたが、シンプルなデザインで困りごとも解決する一足を選んだ。新しい靴に履き替え、ここでの買い物にとても満足してお店を後にした。他2店舗に比べて、客を惹きつける理由がなんとなくわかったような気がする。

後日。
あまりに履き心地が良いため、東京にも店舗があるか調べてみた。あるある!しかもネットショップで購入した靴が手に入る!嬉しくなって、色違いを3足も注文してしまった。そして――

宅配便の人から箱を受け取った時、イヤな予感がした。3足の割には箱が大きすぎる。しかもガサガサ音がする? 開けてみると、3箱すべてのフタが開いて、3足6個の靴と、靴をくるんでいたと思われる紙が散乱状態で入っていた・・あの時の買い物の満足感とのギャップが大きすぎて、しばらく呆然。

配送時の問題かもしれない。
しかし、靴の箱ごとにフタが開かない工夫もなく、大きすぎる箱の隙間を埋めるクッション材も入っていない。店舗での対応がとても良かっただけに、ネットショップの対応には、本当にがっかりした。

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顧客の顔が見えなくても、相手の立場に立ってみれば、梱包の仕方が変わってくるはず。商品の扱いが丁寧になるはず。店舗と違って直接のやりとりがないネットショップだからこそ、こころの伝え方、顧客視点のコミュニケーションがとても大切になってくる。

サプライヤーロジックだけでは、“満足感”は提供できない。その企業の真価が問われると感じた出来事であった。

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